子供の頃からかくれんぼが嫌いだった。



隠れているとき、ドキドキと自分の心臓の音が耳を塞ぐ。
そのときまではまだいい。
十分ほど経っても自分を見つけに来るものがいないと、心配になってくるのだ。

鬼でいるときもそうだ。
皆隠れるのが上手くて見つけられない。走り回ってもみんなの姿が見つけられない。
孤独が不安になって、大声で独り言を言ってみたりする。


もしかしたら途中で遊びをやめてしまったんじゃないだろうか、とか。
私はずっと見つからないままここにいるのだろうか、とか。
私はこのままずっと皆を見つけられずに不安と戦わなければいけないだろうか、とか。


見つけてくれるのを待つことはとても不安だ。
最後のほうには孤独に耐え切れず、自分から飛び出してわざとつかまったりもする。
見つけ出すのはとても大変だ。
最後のほうには不安に耐え切れず、半ベソで走り回り大声で叫ぶのだ。



そして、今、私は隠れている。
遊びではなく、少し真剣に。でもちょっとだけ下心のあるかくれんぼをしているのだ。











子供の頃からかくれんぼが好きだった。



隠れるのはそこまでではなかったが、俺は皆を探すのが得意だった。
見つけるのが少し得意なだけだったけど、俺が鬼になるとみんな嫌な顔をするのに少し優越感を感じていた。

ある女の子がいた。
その子がかくれんぼのメンバーになるとき、鬼の俺はいつもその子を一番最初に見つけてあげていた。
その子はとても寂しがり屋で、かくれんぼが嫌いなようだった。
早く見つからないと焦れて出てきたり、鬼になると皆を見つけられなくて半分泣いていた。

だから俺は一番最初にその子を見つけてあげる。
もしかしたら涙を堪えながら、見つかるのを待っているかもしれないから。


そして、今、俺は彼女を見つけるために走っている。
遊びではなく、ちょっと真剣に。でも少しだけ下心のある素敵なかくれんぼをしているのだ。











「見つけた。」
肩で息をする青年は、満足そうに笑った。
「・・・・・・見つかっちゃったか。」
膝を抱えてうずくまっている女は少しも残念がらずに言った。
「隠れるのが上手くなったな。」
「そう?でも開始五分で見つけるこーくんもすごいと思うけど。」
女は立ち上がって笑って見せる。
「計ってたのか。」
なんだか恥ずかしそうに青年は笑った。

「それにしてもスーツでかくれんぼなんてなんだか滑稽ね。」
「この前もそうだったじゃないか。」
二人は顔を見合わせて自分達のスーツ姿を笑う。





時々二人はこうやって会うのだ。
ちょっと素敵なレストランの食後の運動に、そこらにある神社によってやるのだ。


不安も孤独もない二人だけの楽しい時間。


遊び心を忘れずに、でも少し真剣に。下心がちょっとある、かくれんぼを。




夜ふけに


















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