高い空。温かな太陽の光。心地良い微風。

きっと植物とかはこんなのんびりした気分で空を見上げているのかもしれない。

穏やかな秋の陽気が俺の意識を徐々に奪っていく。




太陽の光を遮って、何かが俺を覗き込んだ。
「加川くん?」
聞き覚えのあるソプラノの声で、俺はすぐに誰だかわかった。
そっと目を開けて微笑みと、花が開くような笑顔をした。


「ひなたぼっこ気持ち良さそうだね。」
俺の隣に座り、渡は空を見上げる。俺もそれに習って見上げた。
綿菓子のような雲が風に任せて空に漂っている。
穏やかな時間に、俺は目を細めた。


「ここって静かでいいねぇ。」
「サボりには絶好の場所だろ?」
「そうね。」
渡は小さく笑った。
しかしそれから少し切なそうな表情で俺を見つめた。


「・・・・どうした?」
「・・・ううん・・・」
渡は俺から視線をはずし、空を見上げた。
彼女の横顔は太陽の光を受けて輝いて見えた。


「・・・・加川くんは部長だし、部活をやっている加川くんは大好きなんだ。」
「・・・・・あぁ。」
付き合うとき、俺は部活も渡利も大事だった。
渡は部活を優先していいと言ってくれた。今言った言葉と同じ言葉を言ってくれた。


「・・・・・当たり前だけど、寂しいときとかあるんだ。」
「・・・・・・あぁ。」
「でもね、時々こうやって一緒にいてくれたらそれでいいなって今思ったんだ。」

渡はお日様みたいに微笑んだ。

「今とっても幸せだなぁ・・・って思ったらなんだか切なくなっちゃっただけなんだ。」



「・・・・渡、」
俺は起き上がって、正面から渡を見た。
「ごめん。なんか変だね、私。」
照れたように笑っている渡の手を握ると、大きな渡の目は見開かれた。



たぶん、俺みたいな人間を幸せ者っていうんだと思った。



「・・・・・渡、」
「ん?」
渡は穏やかな表情で聞き返した。

「・・・・・・・ありがとう。」
「・・・・うん。」
泣きそうになりながら笑う渡が、たまらなく愛しかった。


俺は赤くなっている渡の耳にそっと顔を寄せる。

三時間目が終わるチャイムが鳴り響く。



耳たぶの裏がわへ印を







(この空の下で僕らは)





























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