いつから不満を感じようになったの?
いつからこんなに欲張りになったの?
















女の不満と氏の本音


















「りっちゃん、明日暇?」
「明日?あ、ごめん。彼氏とデートvv」
りっちゃんお幸せそうで・・・・。しょせん友情は愛情に負けるものだよ。
彼氏という単語が出ただけでハートを飛ばすのいい加減やめてほしい。

「・・・・ラブラブだね。」
ついつい死語を使ってしまうよ。りっちゃん、今彼氏想像してるでしょ。頬緩んでるよ。
「ま〜ねv・・・・・・あんたは相変わらずなの?」
可愛い顔して・・・・彼氏さんがりっちゃんに惚れるのも無理ないよ。
ちょっと腹黒いけど。
「胸が痛くなるからそれは言わないで。」
そうですよ。相変わらずラブラブなんて死語じゃなくても言えないくらい冷めてる関係ですよ。

「でもさ〜、常盤君てクールビューティーで有名じゃん。そっけないくらい仕方ないんじゃない?」
「・・・・・仕方なくはないわよ、きっと。」
りっちゃんみたいに可愛くない私にも一応彼氏がいたりする。

彼氏の名前は常盤英二。
芸能人かよって思うほどの豪華な名前だか芸能人みたいに美形だからその名前は似合っている。
雑誌で紹介されたくらいかっこよくて、モデルの勧誘とか街中でされたこともある。
口数が少なくて、りっちゃんの言うとおりクールビューティーって感じ。
実際性格もクールだ。と、いうかクールなんてしゃれた言い方よりそっけないとか人間に興味なさそうとかいう言い方のほうが正確な気がする。

「でもルックスはばっちりじゃん。文句といえば性格くらいでしょ?」
「りっちゃん!あんたは甘いよ!!性格こそ重要なポイントよ?!!」
「でも一目惚れしてクールな性格も知ってて告白したのは沙代子ちゃんでしょ?」
「うっ・・・・でもあそこまでそっけないとはしらなかったんだもん!」
確かに告白したのは私のほうだ。


それは忘れもしない約一年前。私は中学三年で、もう卒業になってしまうから告白しようと決心した。
今日みたいにさっむい十一月の昼になんとかまたまた北風の寒い中庭の端っこで告白した。
寒いし、心臓は相手に聞こえるんじゃないかってくらいにバクバクしていて声もきっと震えていたと思う。
「常盤君のことが好きです。付き合ってくれませんか?」
我ながらベタでオーソドックスな告白だった。けどその時は緊張しすぎでそれくらいしかいえなかった。
常盤君は数秒沈黙した。私はそれが何十分にも感じた。

常盤君はもちろん中学でもてていて、告白なんて何十回目だってくらいだろう。
いつも常盤君が告白されていると聞いたとき告白した女子が恨めしくって振られろって思ってたけどその人たちごめんなさい。
きっと常盤君が好きな人は今私を睨んでいるんだろうななんて思った。

「・・・・いいけど。」
「へ?」
ぐるぐると回る思考の中、予想していなかった言葉に私はまぬけな声を出してしまった。
『いいけど』という言葉を理解するのに数秒かかった。
「え・・・・いいの?!付き合ってくれるの?!」
私と付き合ってくれるなんて思ったこともなかったし、告白するのも気持ちを吹っ切ろうと思ってやったことだった。
OKしてくれるなんて微塵も思っていなかったのに・・・。
「あぁ。」
そのとき、私はありがとう!と言って笑った。
嬉しくてしかたなかった。


そんなこと、もう遠い昔のことのように思えてきた。
最初のほうは、私なんてお遊びだろうと思っていた。けど、もう一年も付き合っている。
だから、少し期待してもバチは当たらないと思っている。

チャー、チャーチャー、チャーチャー、チャーチャ〜♪

「・・・・なんで『●木ボンバイエ』なのよ・・・」
りっちゃんが呆れた顔をしている。
いいじゃないか。なんか気合い入るんだもん。
「英二からのメールだぁ・・・・。」
「噂をすればなんとやら?てか彼氏のメール着信音をそれにするか・・・?」
私はりっちゃんの言葉を無視して急いでポケットから携帯を取り出しメールを見る。
朝、メールを送ったのだ。確か『おはよう!今日一緒に帰らない?私今日部活ないし。』
相変わらず返事が遅い。今昼休みですよ?

『別にいいよ。』
「・・・・・・。」
相変わらず、一言ですね。
『じゃあ英二の学校の校門で放課後待ってるね。』
すぐに返事を書いて送信ボタンを押す。
高校になって英二と私は別々の学校になった。会う機会も少なくなっちゃったし、週一回の電話と毎日数回のメールのみ。それに一言返事で毎日それだと悲しくなってくる。

「英二君なんだって?」
「いつもどおり。別に一緒に帰ってもいいって。」
「別にシカトされてるわけでもないし、一緒に帰ってくれるならいいじゃない。顔もいいし、少しは我慢しなくちゃ。」
「・・・・・・そうだね・・・・。」
りっちゃんの言うことはわかっている。何度もそう思ってきた。
けど、このごろ我慢するのがもう辛くなってきた。限界は近い気がする。
深い溜め息を自然とついてしまった。








放課後、メール通り私は四駅離れている英二の学校の校門の前にいた。
なんだか今日は気分が重い。
「ちょっとぉ、そこ邪魔!」
「そうよ!突っ立ってないでよ!!」
校門から出てきた女子生徒の鞄が私の肩に当たる。明らかに故意に当てられた。
英二の学校の女子生徒、というか英二の好きな人たちは何度か英二の学校に来ている私が彼女だと知っている。
まぁ、認めてなんていないんだけど。

本当に、幼稚で嫌になる。中学の時もそうだった。
いつもならこんなことどうってことないのに、今日は急に泣きたくなった。
私は女子生徒を軽く睨むと女子生徒は嘲笑って帰っていった。

また、溜め息が出る。

「沙代子。」
テノールの心地良い声が聞こえ、横を見るといつの間にか英二がいた。
俯いていた私は気づかなかった。
「あ、ごめん。帰ろうか。」
私は無理矢理にこっと笑って寄りかかっていた校門から背を離し、歩きだした。

英二は基本的に無口だから、私がずっと喋って相槌を打つ形に自然となってしまう。
「今日ね、体育ものすごく辛くってさ〜、疲れちゃったよ。」
「・・・・そう。」
「持久走とかってホント最低。りっちゃんと一緒にひーひー言ってたの。」
「ふぅん・・・・。」
今までこんなやり取り私はそっけない返答に負けず続けていたのに、なんかもう話す気力もなくなってきた。
いつから私はこんなに欲張りになったんだろう。
最初は隣にいるだけでもう胸がいっぱいだったのに・・・。

「ふぅ・・・。」
「・・・・・・・・。」
彼女が溜め息ついてんだからなにか言葉でもかけてくれたらいいのに。
英二にそんなこと無理なのか?普通、人ならできるでしょそれくらい。
ちらりと横顔を見上げると、英二は無表情で前を見ていた。
綺麗な瞳と長い睫毛。整った顔立ち。文句なしの美少年だ。
悔しいけどいつみてもかっこいい。
第一私と英二って釣り合ってない。私ってホント平凡な顔してるし。だからといってすごい性格美人でもない。
大体なんで英二は私と付き合ったんだろう?
















「ふぅ・・・・・。」
「沙代子ちゃん、どうしたの?今日は暗いよ?」
翌日、私の気分は最悪だった。
いつも朝英二にメールしていたけど今日はしなかった。
「なんかもう疲れた・・・・。」
「なっ・・・・沙代子ちゃんが疲れたなんて!!みんな!今日は雨が降るよ!!」
クラスの子たちはざわつく。
「宮沢が疲れたなんて・・・確かに雨が降るな。」
「確かに今日は雲行きがよくないな・・・。」
「私傘持ってないのに〜。沙代子、頑張れ!」
「ええ〜い、うるさい!!誰か私の心配をしたらどうなのよ?!!」
なんてクラスだ。もう拗ねてやる。

「沙代子ちゃん、拗ねないでよ〜。でも、ホント大丈夫?」
りっちゃんは今度こそ心配そうに私の顔を覗いた。
くそぅ、可愛い顔したって許してあげないよ!
「・・・・・はぁ、もういいよ。今日は私は調子悪いの。」
「保健室行かなくていい?」
「大丈夫。」
りっちゃんは本気が私の調子が悪いと思ったのかとても心配そうにした。
持つべきものは友かもね。







気だるい気分で、駅へと向かった。
どこかへ寄る気分にもなれない。こういう日早くお風呂に入って寝よ。
私が調子が悪いのがいけないのか、本当に雨が降った。
たまたまロッカーに置き傘していたからちょっと小さい折りたたみ傘を差しながら、とぼとぼと下を向いて歩いていた。

ふと、顔を上げたとき私は立ち止まってしまった。
少し前に、こちらに向かってくるアイアイ傘をしている男女がいた。
女は綺麗系のギャルっぽい子。もう一人は・・・・


「・・・・・英二?」
私の声に英二は俯いた顔を上げた。英二の少し驚きで見開かれたこげ茶色の瞳と目が合った。
英二も私も制止した。
「えーじくん?・・・・なによ、あんた?」
女の子は怪訝そうな顔で英二を見上げ、私を睨んだ。
「あんた誰だか知らないけど、あんたみたいな不細工えーじくんに近づこうなんてキモイのよ!どっかいってよ!!」

英二は黙っている。私が英二を睨んでも、英二は私をぼんやりと見ている。
修羅場っていうのだろうか、こういうの。
「ちょっと、黙ってなんでなんか言いなさいよ!!」
女の子は少し声を荒げて言った。
雨の音が耳についた。怒りが一気に込み上げてくる。それしか、頭の中にない。


私の頭の中でなにかがぷつんっと可愛い音をたてて切れた。


差していた傘を、思いっきり英二に向かって投げた。
「っ!!」
一瞬英二の顔に当たるかと思ったが英二が手で顔を守ったため大丈夫だった。
雨が私に当たって、少し痛い。

「あんたねぇ!!私のことどうとも思ってないなら付き合うんじゃないわよ!!」
さっきの女の子の何倍もの声量で、私は英二に向かって怒鳴った。
通行人は私たちに注目している。そんなの知るもんか。
「大体、もうちょっと私に優しくしなさいよ!!もう少しかまってくれてもいいじゃない!!そっけなすぎるのよ!!クールビューティーだかなんだかしらないけどクールすぎるんだよ、バカ!!!!
遊びだったら一年も付き合うなよっ!!期待しちゃうじゃないか!!
あんたなんか隣の安っぽい女と遊んでりゃいいだろ!!バカ!アホ!男のクズ!!!
そんなに私のこと嫌いならこっちから別れてやるよっ!!!いっぺん地獄に堕ちろ、クズ!!!」
私はマシンガンのごとくそのことを言うと、英二に近づき、鞄で頭を殴って横をすり抜けて駅へ走った。
隣の女の子はぽかんと口を開けていたのがちょっと見えた。

涙で視界は歪むし、雨で身体は冷たいし、でもちょっと言いたいこと言ってすっきりしたけど英二とお別れするのは少し寂しかった。

最悪の別れだ。

まさか自分が修羅場を経験するなんて思ってもみなかった。








その夜、私は夕食を済ませたらすぐに部屋にいってベットの上でごろごろしていた。
テレビを見て笑う気にもなれず、ぼんやりとしていた。
お風呂には帰ったらすぐ入ったし(雨に濡れちゃったから)、勉強はもちろんやる気がおこらなくて寝ようと思っても寝れなかった。

チャーチャーチャー、チャーチャチャー、チャーチャチャー

ダースベーダーのテーマが急に聞こえてきた。着信か。りっちゃんかな。
そう思って携帯を取り通話ボタンを押した瞬間、私は過ちに気がついた。

『まさか出るとはな・・・』
呆れた声がした。それは私が大好きだった声だった。

この着信音は英二からの電話着信音に設定していたことをすっかり忘れていた。
そりゃそうだ。付き合って一度も英二から電話なんて来なかったんだから。

「・・・・何の用?」
できるだけ鋭い声を出した。もう、英二と私は別れたんだから。
『沙代子と話そうと思って。』
「話すことなんてもうない。さよなら。切るわよ?」
『じゃあ沙代子は話さなくていいから。俺の言うこと聞いて?』
優しい声を出されると対応に困ってしまう。別れた後にそんなに優しくされても困る。

私の無言を肯定ととったのか、英二は喋りだした。
『俺はどうとも思っていない奴と付き合ったりしないし、いつ沙代子のことを嫌いって言った?』
かつてないほど、英二はよく喋っている。それに純粋に驚いた。
「・・・・・でも、好きとも聞いてない。」
『じゃあ今言ってやろうか?』
その言葉に、不覚にも赤面してしまった。殺し文句を・・・・!

「い、今更優しくしないでよ!!大体私は英二と別れたの!!」
『俺は別れたつもりないけど。』
「大体女の子と一緒にいたじゃない!!」
『沙代子の学校への道を聞いただけだ。雨降ってきたからついでに傘にいれてもらった。』
「一年も付き合ってるくせにこんなに優しくしてくれなかったじゃん。話もあんまりしてくれなかったくせに・・・・。」
涙が流れた。今更優しくするなよ。バカ。

『それは・・・・・その・・・・』
英二はごにょごにょ言い出す。
「なによ?」
『よ、よく聞けよ?・・・・・・・・だから・・・』
「え?よく聞こえない。」
『だから          だよ!』
その言葉に、私は目を丸くしてしまった。
思考が一瞬フリーズした。

「え、英二ってそんなキャラ?」
率直な疑問だ。
『黙れっ!!』
英二が照れているらしく、あの言葉は聞き間違えではないみたいだ。
私は小さく笑った。英二って意外とかわいいんだ。
「英二のバカ。アホ。男のクズ。」
『・・・・・悪かったって思ってる。』
「もう少し早く言ってよ。あと、時々でいいから優しくしてくれないと私も寂しいんですよ?」
『・・・・・あぁ。』

「まぁ、許してあげる!そのかわり次はないと思いなさいよ!!」
『わかってる。・・・・悪かったな。』
「その悪かったと思う分優しくしてください。」
『・・・・努力する。』

英二のあの一言を聞いてなんだかすべてを許してしまった。
本音も聞けたし、まだまだ英二のことを私は知らなかったんだ。

だから、これからまた始めよう?





END









考えてみればカップルの話がないなぁと思って書いてみました。
けどスランプ中なので文章最悪;
お題にしようと思っていたのに書いてる途中すっかり忘れていてセリフを入れられず短編へと変更;(書き終わってから気がつく馬鹿
ずるい男と普通の乙女を書いてみました(笑
沙代子と私って微妙に似ている気が・・・友人方どうでしょう?
あと沙代子が設定した英二からの着メロはすぐに思い浮かびました(笑





















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